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なでしこジャパン物語 〜宮間あや 安藤梢 鮫島彩〜(工藤晋・笠原巴・山崎夏軌・佐治晴斗著/講談社)-鮫島彩物語- [漫画]

私は一度、鮫島選手に握手してもらったことがある。昨年末、日本女子サッカー選手権の準決勝の2試合を国立競技場に観に行ったときのことである。最初の試合終了後にアナウンスが流れ、鮫島彩選手と熊谷紗希選手が正門前で東日本大震災の慈善募金を募っているという。早速いってみると、お二人が募金箱を抱えて、募金した人一人ひとりと握手していた。募金箱の前には長蛇の列ができていて、なかにはこれ見よがしに千円札を握りしめているおじさんもいる。私は芸能人のサインとか握手とかにまったく興味がないのであるが、ひとしきり悩んだ末、この機会を逃してはと思い、鮫島選手と熊谷選手の握手をゲットしたのであった。募金額はここに書くのが恥ずかしいぐらいの些少なものであるが。

もう一つ鮫島選手というと、昨年国外に移籍するまでは、東京電力の女子サッカー・チーム、東電マリーゼに所属していて、例の大事故が起きた福島第一原発で働いていたという話が有名である。昨年のワールドカップの前後に、鮫島選手がインタビューを受けていたとき、原発事故の話になったところ、突然鮫島選手の目から涙が溢れて止まらなかったという話を聞いた記憶がある。おそらく記事で読んだのだと思うのだが、鮫島選手が涙を流しているシーンが映像として私の脳裏にあるのは不思議である。

さて、この漫画は、この本に収められた3作の中で最もストーリーがドラマチックである。それは、鮫島選手の幼少時代のサッカーのコーチの言葉とその不慮の死が、鮫島選手のサッカー人生に深く関わっているからである。もう一つの重大事であったはずの東電事故による東電マリーゼの休部については、漫画では全く触れられていないが、これはやむを得ないことかなとも思う。

意外だったのは、鮫島選手は中学時代、サッカーのスター選手だったにもかかわらず、学校ではテニス部に所属していて、「サッカーを止めようかな」と考えたこともあったということである。そういえば、先日フジテレビのインタビューだったと思うが、「何となくふわ~っとした感じでここまできてしまった」といったようなことを語っていた記憶がある。ひょっとすると鮫島選手はみんなに注目されたり、人気の的になったりするのは苦手なのかもしれない。そういう控え目な性格だとすると、見ず知らずのおっさんと握手せざるを得ない羽目になって、さぞかし嫌だったことであろう。本当に申し訳ないことだ(笑)。

あと、鮫島選手といえば、あの女の子走り(小股走りという人もいる)でなぜあんなに速く走れるのかが不思議である。鈍足の私がいうのもおこがましいが、私の学校時代の経験では、ああいう走り方をする女子はみな足が遅かったような気がする。鮫島選手の走り方の秘密がこの漫画では明らかにされなかったのは非常に残念である。
 
ロンドン・オリンピックでの次の試合はスウェーデンが相手だ。鮫島選手がエース、シェリーンに仕事をさせず、あのキュートな走り方でサイドを駆け上がる姿を見るのが非常に楽しみである。 
 
なでしこジャパン物語 宮間あや 安藤梢 鮫島彩 (ライバルKC)

なでしこジャパン物語 宮間あや 安藤梢 鮫島彩 (ライバルKC)

  • 作者: 笠原 巴
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/07/09
  • メディア: コミック
 


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なでしこジャパン物語 〜宮間あや 安藤梢 鮫島彩〜(工藤晋・笠原巴・山崎夏軌・佐治晴斗著/講談社)-安藤梢物語- [漫画]

サッカー男子日本代表のサイドバック内田篤人選手は、同じくドイツでプレイしている安藤梢選手と知り合いらしい。しかし、以前なんかの番組で、内田選手が「こずこず(安藤選手はこう呼ばれているらしい)は結構冷たいんですよね」といった発言をしていたのを憶えている。ザックジャパンで一番イケメンのウッチーに冷たいと感じさせるとは、安藤選手はよほどタカビーな女性なのかと思ったのだが、そうではないことがこの漫画を読んでわかった。そう、こずこずには別に恋人がいたのである。「サッカー」という恋人が…。しょうもないオチであるが、本当にそう思えるぐらいサッカー一筋に情熱を注ぎ込んできた人なのである。

漫画の前半は、彼女がいかに練習と研究に熱心かという話のオンパレードである。チームメイトがもう止めようといっても練習、女子ワールドカップの代表選出から洩れたショックで猛練習、GKの山郷さとみ選手が休めといっても練習、クラブの練習が終わったあともサッカーの名門筑波大学での練習…。練習だけではない。大学ではパソコンの前で、サッカーボールの空気抵抗の変化やメッシのドリブル・テクニックなどについて研究する姿が描かれる。

そんな安藤選手の努力が実を結んだのが、昨年のドイツ女子ワールドカップでの快挙だったわけである。準々決勝のドイツ戦後、佐々木則夫監督が「MVPは安藤にあげたいぐらい」といったエピソードが漫画で紹介されている。このコメントは私もリアルタイムで聞いたが、素人ゆえの悲しさ、試合中はボールウォッチャーになってしまい、またどうしてもシュートなどの派手なシーンばかりに目が向いてしまい、なかなか安藤選手の陰の活躍には気が付くことができなかったのであった。が、漫画を読むと、ドイツ戦での安藤選手の無回転シュート、当たり負けしないフィジカル、巧みなドリブルなどに、これまでのひたむきな練習と研究の成果が十分に発揮されたことがよくわかる。

先日のロンドン・オリンピック初戦、対カナダ戦では安藤選手は途中からの出場だった。あまり多くチャンスにはからまなかったけれども、この漫画を読んだ後で安藤選手のプレイをみると、確かに上手いなあと実感した。後半33分のシュートが惜しかったなあ。安藤選手は代表戦ではゴールに縁がないけれど、今回のオリンピックでは是非、目の覚めるような無回転シュートを決めてもらいたいものである。

ところで、安藤選手の実物は日に焼けた肌に白い歯がとても印象的な人である。スクリーントーンかなにかを使ってもう少し色黒に表現してほしかったかな。それと、この漫画の冒頭、ワールドカップ対ドイツ戦の入場行進のシーンに一回だけ宮間選手が登場するのだが、その目が一本線で描かれているのは実にうれしい。やはり宮間選手の目はこうでなくっちゃね。但し、阪口選手と見分けが付かないおそれはある。
 
なでしこジャパン物語 宮間あや 安藤梢 鮫島彩 (ライバルKC)

なでしこジャパン物語 宮間あや 安藤梢 鮫島彩 (ライバルKC)

  • 作者: 笠原 巴
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/07/09
  • メディア: コミック
 


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なでしこジャパン物語 〜宮間あや 安藤梢 鮫島彩〜(工藤晋・笠原巴・山崎夏軌・佐治晴斗著/講談社)-宮間あや物語- [漫画]

私が選ぶ2011ドイツ女子ワールドカップにおける3大宮間あや。

1. 一次リーグ初戦の対ニュージーランドとの試合で、フリーキックによる勝ち越しゴールを決めたときの人差し指を高く掲げた姿。クールだなあと思った。

2. アメリカとの決勝戦で同点弾を決めたあと、すぐにボールを抱えてセンターサークルに戻ろうとする姿。必死さが伝わってきて感動した。

3. ワールドカップの授与セレモニーで、紙吹雪が舞う中、両手を交互に上げて踊っていた姿。こんな剽軽な一面もあるんだと驚いた。

さて、何ヶ月か前に、TBSの『スーパーサッカー』で宮間選手と金田喜稔さんの対談を放送したことがあった。場所は宮間選手が所属する湯郷ベルの地元、湯郷温泉だった。対談が始まる前に、金田さんと二人で足湯に入ったり、射的場で遊んだりするシーンが流れたのだが、あの演出は絶対に宮間選手の要望だと思う。ワールドカップ優勝の凱旋記者会見でも、「湯郷」という言葉を何度となく繰り返してホームタウンをPRしていたのを覚えている。試合中の姿も素晴らしいのだが、自然体でこういう気遣いができるところが本当にすごいと思う。

この漫画を買ったのは、そのようなほとんど完全無欠と私には思われる宮間選手の人格がどのように形成されたのかを知りたかったからであるが、残念ながら、全部で60ページほどの短編にそこまで期待するのは無理なことであったようだ。以下は、読みながら思い浮かんだ雑感である。

まず冒頭に「実在の人物・団体・出来事などとは異なる描写もあります」という注記がある。これは主に、登場する選手がデフォルメされていることを指しているのだろうが、こんなことをいちいち断らなくてもいいのになあと思う。実物の宮間選手の特徴はあの鋭い一重瞼の目だと思うが、漫画では何だか元グラビア・アイドルのMEGUMIのような目つきである。ま、これもいいが、私はパタリロみたいにした方が宮間選手の可愛らしいがよく出るのにと思った。

さて、宮間選手にとって最初の人生の転機は、2001年に生まれ故郷の千葉県を離れて湯郷ベルに参加したことである。漫画では、なでしこリーグの前身であるLリーグのチーム(日テレ・ベレーザ)へ通うのに片道3時間かかったことが理由の一つであったように描かれている。私も十数年前に一度、仕事で宮間選手の故郷の近くを電車で訪れたことがあるが、本当にここは関東地方の一部なのかと思う遠さであった。よく通っていたなあと感心する。

ところが先日、テレビ朝日の『やべっちF.C.』の宮間選手の特集で、宮間選手のお父さんの言葉を引用する形で、実は日テレ・ベレーザの人間関係に宮間選手が嫌気をさしていたということが紹介されていた。これは私にとって非常に意外だったのだが、確かにそういうこともあったらしい(http://grunherz.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/sabra_0d65.html)。プロの世界の競争というのは一般人の想像以上なのだろうが、あまり知りたくない話であった。あくまで推測であるが、その頃のLリーグは不景気の煽りを受けて撤退するチームが相次いでいたり、代表チームはシドニー・オリンピックへの出場を逃していたりといった厳しい状況が続いていたため、それがクラブ・チームの雰囲気にも悪い影響を与えていたのかなあとも思う。

ところで漫画では、湯郷の街のあるラーメン屋で、宮間選手がラーメンを貪り食って、チームメートが呆れるというシーンが出てくる。が、宮間選手の行きつけの店はうどん屋さんではなかったか。まあそれはともかく、一度湯郷に行って、温泉にゆっくり浸かって、ラーメンでもうどんでも食べて、じっくりと湯郷ベルの試合を観戦したいものである。

さて、宮間選手の次の転機は、2009年のアメリカの女子サッカー・クラブへの移籍である。漫画では、二度目の移籍チームの試合中、言葉の壁もあって意思疎通がうまくいかない宮間選手がパスミスを連発してチームメイトから厳しく非難されてしまうのだが、そこで宮間選手をかばってくれたのがなんと米国女子代表チームの正ゴールキーパーであるホープ・ソロなのであった、というエピソードが出てくる。これは私の知らない話であったので、非常に興味深かった。その後2010年に宮間選手は帰国、湯郷ベルに復帰。その後の大活躍はすでにみんなが知っているとおりの内容である。

さあ、いよいよロンドン・オリンピックである。なでしこジャパンが再び金メダルをとって、今度は1年連載ぐらいのもっと詳細な「宮間あや物語パートII」が作られることを願ってやまない。

なでしこジャパン物語 宮間あや 安藤梢 鮫島彩 (ライバルKC)

なでしこジャパン物語 宮間あや 安藤梢 鮫島彩 (ライバルKC)

  • 作者: 笠原 巴
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/07/09
  • メディア: コミック


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