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酒井高徳選手にドイツ代表入りの可能性はまだあるのか [雑記]

先月、ドイツと日本の二重国籍を有するシュツットガルトの酒井高徳選手が、ドイツ代表入りをほのめかす発言をしたとのニュースがあった。「僕にとってドイツ代表は相変わらず一つのオプション」と述べたというのである。それを読んで私が驚いた理由の一つは、先月のキリンチャレンジカップの対ベネズエラ戦に酒井選手が招集されていたので、ドイツ代表に入る可能性は消滅したと思っていたからである。どうやら日本の代表戦に招集されただけでは影響はないらしい。

もう一つの理由は、仮に酒井選手にドイツ代表入りの権利があり、その意向があったとしても、そんなことを今いわなくてもよいのになあと思ったからである。だが、その後の報道では、ドイツ代表入りのニュースについて「だいぶ盛られた」と酒井選手がいったそうなので、意図的な虚偽報道だったのかもしれない。ドイツ人というのはあまり下手な小細工を弄さない人たちだと思っていたが、権謀術数が渦巻くサッカー界ではこんなことも当たり前なのだろうか。

さて、昨日の国際Aマッチデーのアラブ首長国連邦(UAE)代表との親善試合に、酒井高徳選手は日本代表として後半34分から試合終了まで出場した。これによって酒井選手のドイツ代表入りの可能性が消えるのか否かについて、相反する報道がなされている。同じスポニチが全く逆のことをいっているのが興味深い。

「…日本代表で国際Aマッチに出場すれば、ドイツ代表入りの道は完全に断たれることになる…」

「今回、日本代表として国際Aマッチデビューを果たしたことでドイツ代表入りの資格が自動的に消えた。」

「…UAE戦で国際Aマッチデビューしても公式大会でないため、ドイツ代表入りの道は残る…」

一体どちらが正しいのかよくわからないので、調べてみた。ウィキペディアの「国際Aマッチ」の項目には以下のとおり書かれている。

「国際Aマッチ(親善試合を除く)及び年代別代表公式戦に一度でも出場した経験を持つ選手は、後述する重国籍者(複数国籍保持者)等の場合を除き、その後国籍の変更や追加をしても、その国の代表にはなれない(国籍の変更や追加をする理由の多くは、欧州リーグの外国人枠から外れるためである)。また、重国籍者の場合でも、一度でも国際Aマッチ(親善試合を除く)に出場した後は既に保持している別の国籍の代表にはなれない…現在のFIFA規則[8]では、他の例外規定はない」

これが正しいとすると、今回の試合は親善試合なので、酒井選手にはまだドイツ代表入りのチャンスがあることになるだろう。

念のため、FIFA規則の最新版と思われるFIFA Statutes July 2012 editionのREGULATIONS GOVERNING THE APPLICATION OF THE STATUTESの章の重国籍者等に関する例外規定である第8条第1項をみると、以下のとおり定めている。 
 
---------------------------------------------------------------- 
If a Player has more than one nationality, or if a Player acquires a new nationality, or if a Player is eligible to play for several representative teams due to nationality, he may, only once, request to change the Association for which he is eligible to play international matches to the Association of another country of which he holds nationality, subject to the following conditions:
a) He has not played a match (either in full or in part) in an official competition at “A” international level for his current Association, and at the time of his first full or partial appearance in an international match in an official competition for his current Association, he already had the nationality of the representative team for which he wishes to play.
b) (略)

(拙訳)
選手が複数の国籍を有する場合、または選手が新しい国籍を取得した場合、または選手が国籍によりいくつかの代表チームのために出場する資格を有する場合、当該選手は、以下を条件として、1回に限り、当該選手が国際試合への出場資格を有する協会を、当該選手が国籍を有する別の国の協会に変更することを要請することができる。
a)当該選手がその現在の協会のために「A」国際レベルの公式大会における試合(全部か一部かを問わない)に出場したことがなく、その現在の協会のための公式大会における国際試合への最初の全部または一部の出場時に、当該選手が出場を希望する代表チームの国籍を既に有していたこと。
b)(略) 
---------------------------------------------------------------- 
 
「公式大会(official competition)」とはどの範囲を指すのか疑問が残るが、素直に解釈すれば、今回酒井高徳選手が出場した対アラブ首長国連邦戦は「A」国際レベルではあっても、「公式大会」の試合ではないだろう。従って、スポニチアネックスの最後の記事が書いているように、酒井選手にはいまだに、出場資格を有する協会を日本サッカー協会からドイツ・サッカー協会に変更する権利があるように思われる。もちろんどちらを選ぶかは酒井高徳選手の自由なのだが、上記のゲキサカの記事のタイトルのように「ドイツ代表の話はもう終わり」ということであれば、日本のサポーターとしては何よりである。

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コメント 2

a

だから唯一の論点は、キリンチャレンジカップが公式戦か否かだけなんですよね。当然、親善試合ですから鞍替えの権利は残ります。
by a (2012-09-09 17:38) 

弁信

コメントありがとうございます。

新聞社にはこういった問題の専門家もいるのでしょうから、もう少し詳しく正確に報道してほしいものです。
by 弁信 (2012-11-09 19:39) 

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