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FIFA U-20 女子ワールドカップ ジャパン2012 決勝トーナメント準々決勝 ナイジェリア対メキシコ 8月30日(木)16:00 会場:国立競技場 [観戦]

国立競技場のチケット売り場には、ナイジェリア・サポーターとおぼしき黒い肌の男達がやけに目に付いた。日本にはこんなにナイジェリア人がいたのかと驚くほどであった。試合開始の笛が鳴ると、ゴール裏のナイジェリア応援席ではトランペットとパーカッション、それに歌声も加わったコンサート兼ダンスパーティーが始まった。それが実に楽しそうで、私はバックスタンドにいたのだが、彼らの音楽を聴きに席を移動したくなったぐらいである。それを最高気温36度という猛暑日に試合の間中ずっと続けているのだから、応援団の方もものすごい体力である。

後半開始直後は演奏が始まらないので、試合よりもそっちが気になっていると、しばらくしてトランペットがソロで吹き始めた。それに少しずつ打楽器が合わせ始め、やがて歌も歌い出した。みんなで一斉にというのではなく、いかにも気分任せという感じで徐々に盛り上がっていくのがアフリカっぽいなあと思った。そして、押し気味に試合を進めながらも1点が遠かったナイジェリアが延長後半にようやく先制したとき、ナイジェリア応援団の熱狂は最高潮に達した。

メキシコに対しては、もうロンドン・オリンピックで男子日本代表が負けた恨みはない。が、ナイジェリアの応援団の一生懸命に応援している姿にはどうしても感情移入してしまうし、もっと彼らの音楽を聴けるようナイジェリアに勝ち進んでほしいと思った。私のその願いが通じたのか、そのままナイジェリアが1点を守り抜いて準決勝進出を決めた。アフリカのサッカーというと肉体的能力に優れているというイメージが強いが、ナイジェリアの女子U20のチームは、個人技だけでなくチームとしても非常にまとまりがあると思った。

たまたま今読んでいる『サッカーの世紀』(後藤健生著/文藝春秋)には、アフリカのサッカー強豪国であるナイジェリアのサッカー事情が書かれている。他の多くのアフリカ諸国と同様、欧米列強が引いた人工的国境線によって形成されたこの国では、民族間の内紛が絶えなかった。1967年には南東部のイボ族が「ビアフラ共和国」として独立を宣言したものの、ヨルバ族とハウサ族が支配する連邦政府に敗北し、数百万の餓死者と難民を出す事態となった。そうした歴史を持つナイジェリアでは、各民族から選抜されたサッカーのナショナル・チームが国民意識の形成、国民統合のツールとしての役割も担っているということである。
 
ちなみに劇画のゴルゴ13シリーズには、このビアフラ紛争を題材として民族間の激しい憎悪が生み出す悲劇を描いた『飢餓共和国』(SPコミックス・ゴルゴ13シリーズ第5巻『帰って来た標的』所収)という佳作がある。もちろんフィクションではあるが、その陰惨な希望のない結末の物語を改めて読んでみると、今ナイジェリアのサポーター達があそこまで熱狂する理由が少しわかるような気がした。
 
サッカーの世紀

サッカーの世紀

  • 作者: 後藤 健生
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1995/09
  • メディア: 単行本
    サッカーの世紀 (文春文庫)

    サッカーの世紀 (文春文庫)

    • 作者: 後藤 健生
    • 出版社/メーカー: 文藝春秋
    • 発売日: 2000/07
    • メディア: 文庫
ゴルゴ13 (5) (SPコミックス)

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  • 作者: さいとう たかを
  • 出版社/メーカー: リイド社
  • 発売日: 1997/06
  • メディア: コミック

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