吉田麻也選手のこと [雑記]
吉田麻也選手のことを初めて知ったのは、昨年の2011アジアカップのときだったと思う。私の大好きなお笑い芸人の東野幸司みたいな人がおるなあというのが第一印象だった。色白、面長、切れ長の目の感じがよく似ていると思った。そのアジアカップのカタール戦で、吉田選手はレッドカードを受けて退場となる。その直後のフリーキックでカタールに得点されたとき、ピッチ際の吉田選手が沈痛な面持ちで天を仰いだところが映し出されたが、私には、「人間の心がない」といわれる東野幸司が柄にもなく悲しんでいるように見えてしまい、ちょっと可笑しくなったことを憶えている。
東野に似ていると感じた私の直感は、ある意味で間違っていなかったようだ。吉田選手は、テレビ出演が大好きなようで、しかも結構面白いことをいう。内田篤人の写真を自分のブログに載せると「アクセス数がアップするんですよね~」とウッチーを客寄せパンダ扱い、ザックジャパンの長谷部誠キャプテンのことは「ベーハセ」、本田圭祐は「キャラを作ってる」、スーツで決めてビデオ出演した長友佑都に対しては「あの顔でスーツ着てる時点でスベってるでしょ」と、代表のチームメイトに対して悪態のつき放題である。ああいう顔つきの人は毒づく笑いが得意なのであろうか。
ワールドカップのアジア予選の対北朝鮮戦ではロスタイムにヘディングで決勝点を決めるなど、吉田麻也選手はここぞというときの活躍はすごいのだが、上述のカタール戦でのレッドカード、同じくアジアカップのヨルダン戦でのオウンゴールなど、少し軽いというか、抜けているというか、そんな印象も拭えない。あるとき、ザッケローニ代表監督が吉田選手に対し、「成長し続けないと代表には呼ばないぞ」と釘を刺したという記事を読んで、さすがザックは鋭いなあと感じた記憶がある。6月のヨルダン戦では、吉田選手がドリブルをしているところを相手選手にタックルされ負傷するというアクシデントがあった。これについて、代表のチームメイトの一人が匿名で「あのような完全にリードしている状況では、(リスクの高い)ドリブルなんかする必要は全くなかった」と吉田選手を暗に批判している記事を読んだことがある。そういう厳しいがもっともなことをいうのは、間違いなくベーハセだろうと私は睨んでいる。
そんな吉田麻也選手がオリンピック代表チームに呼ばれ、しかもキャプテンを任されると聞いたとき、実のところ大丈夫かいなと思ったのだが、全くの杞憂だったようだ。これまでの4試合、彼は再三の危機を防いでくれたし、キャプテンシーも発揮しているようだし、しかも昨日の対エジプト戦ではみごとヘディング・シュートを決めてくれた。まあ、ご褒美に『サムライDays、欧州Days』でも買ってやるか。いやいや、感謝の念を持って謹んで購入させていただきます。サッカー選手の本というと、ベーハセの『心を整える』のような啓発的な内容のものが多いという印象がある。この歳になって、いくら優秀なサッカー選手とはいえ吉田麻也から説教めいたことをいわれるのも何だかなあと思っていたのだが、そんなことはなくて軽妙な楽しい本のようである。
最後に、吉田麻也選手のある特集記事に、以下の言葉が紹介されていた。
「サッカー選手で練習以外ずっと家にいるやつと、いろんなことにチャレンジしてるやつとどっちが人生を謳歌(おうか)してるかっていったら、絶対後者でしょ。多感な方が絶対に得るものも大きいと思います」
このような深いお考えがあるとは露知らず、単なる目立ちたがり屋だと勘違いしてしまい、大変失礼いたしました。改めてお詫び申し上げます。いやしかし、昨日のゴール・パフォーマンスでタカ&トシの「俺だ俺だ俺だ~」をやってたところを見ると、この男、やっぱり相当のお調子者である。
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